
人間は誰しも、生きて死ぬ数十年の人生の間に、膨大な経験をし、記憶をし、知性を育んでいく。ここでいう多元的な知性は、知能検査によって個々人を序列化するものでも、高名な知識人のものでもない。むしろ生活に根づいた「知恵」や身体的な「技」も含めて、他者との出会いに開かれた、多様な知性の形態を発見していくことが重要だ。
知性を育む過程として「人生」がある。他者の人生について、一方で、社会関係や環境(身体・モノ・空間との相互作用)を介した形成過程から、他方で、現場における活用の方法から、問うことができる。議論を通して最終的に、人間が生きて死にゆくリアリティに根差した「知性」生成過程研究の開拓を目指す。