2000年春の地方分権一括法施行を皮切りとした地方分権改革以来、日本の政治体制における地方分権の波はゆっくりと進行しています。この授業では、近年変化が著しい日本の地方自治の制度・財政・政策をめぐる動態など全般にわたるトピックを取り上げます。
近年の地方分権改革の思想的背景であったニュー・パブリック・マネージメント(NPM)の展開、地方財政のひっ迫と草の根から沸き起こる市民の活動に支えられた,地方政府と市民運動・NPOの協働(PPP)の思想という2つの潮流が相互に絡み合い、混ざり合って展開する現代日本の地方自治像をさまざまな角度から検証し、未来を考えてゆきます。想定されるトピックとして、地方分権改革、中央政府からの税財源・権限委譲問題、市町村合併と道州制論、事務事業評価、地方政府による政策イノベーション、市民参加、市民と行政の協働、地域NPOの活動、首長のリーダーシップ、地方議会改革等が挙げられます。講義と文献輪読を通じた討論をにより、地方自治をめぐる最近の動きへの理解を深め、その未来像をともに考え、探ってゆきます。