
ゲノムは生命の未知なる情報が集約した設計図であるとの期待を背負い、約半世紀以上昔から分子生物学における一次情報の一つとして扱われてきた。様々な技術革新によってゲノムを決定することに払われる労力は激減し、ゲノムを如何に活用するかという視点が重要になってきた。しかしながらその一方で、人類はゲノムに書かれた情報を真の意味で理解することの困難さに直面し始めた。ゲノムは設計図と言われる通り生命現象を規定するあらゆる情報が記述されているが、個別の意義や役割まで理解するにはさらに膨大な実験や検証を続けなければならない。ゲノム情報の個別理解は連動した生命現象の構成的な理解を助けることは出来ない。本科目ではゲノム科学の生い立ちから、ゲノムの設計原理、デザイン余地、利用方法、を系統的に講義しながら、未来型のゲノムデザインを実現するために取り組むべき課題を履修者と共に議論しながら進めていく。